
「私たち夫婦には子どもがいないけれど、相続人は誰になるのだろう?」
「今まで連れ添った配偶者に、全ての財産を相続してもらうことは可能?」
「親戚と疎遠になっていて、相続人調査が大変かも…。」
民法では法定相続分の制度が定められており、配偶者や子以外の方も相続人となるケースがあります。
特にお子さんがいないご夫婦の場合、相続関係は少し複雑になりがちです。
安心して遺産を残すためにも、誰が相続人となりうるかを知っておくことは重要だと言えるでしょう。
当記事では、お子さんがいないご夫婦の相続について、これまで様々なケースの相続手続きに対応してきた行政書士が、詳しくご説明いたします。
当事務所では、上田市をはじめとして長野県全域において、建設業許可申請、農地転用、遺言相続、会社設立などの各種手続に関し、書類の作成代行や作成代理および官公署への提出代理などを幅広く行っていますので、お気軽にご相談・ご依頼ください。
子がいない場合の法定相続人は誰?
亡くなった方の父または母が存命の場合
前提として、配偶者は必ず法定相続人となります。
ただし、配偶者が全ての遺産を相続できるとは限らず、他の親族との共同相続となる場合があるのです。
亡くなった方のお父さまやお母さまがご存命の場合、配偶者と父母との共同相続となります。
この場合、配偶者の相続分は3分の2、父母の相続分は3分の1(父母のどちらも存命の場合は、父が6分の1、母が6分の1を相続)です。
亡くなった方の父母が亡くなっている場合
では、亡くなった方の父母が存命でない場合はどうなるのでしょうか。
亡くなった方に兄弟姉妹がいらっしゃる場合、配偶者と兄弟姉妹との共同相続となってきます。
この場合、配偶者の相続分は4分の3、兄弟姉妹の相続分は4分の1(兄弟姉妹が複数人いる場合は、人数に応じて均等に相続)です。
亡くなった方の兄弟姉妹がいない場合はどうなる?
亡くなった方が一人っ子、または兄弟姉妹も既に亡くなっているというケースも少なくありません。
まず、亡くなった方が一人っ子の場合は、配偶者が全ての財産を相続することとなります。
一方、亡くなった方に兄弟姉妹がいたけれど、既に亡くなっているという場合は少し相続関係が複雑に。
兄弟姉妹の子、つまり甥や姪が相続人となる代襲相続が発生します。
本来は兄弟姉妹が相続するはずだった相続分を、甥や姪がそのまま相続するようになり、相続分は配偶者が4分の3、甥・姪が4分の1です。
近年では核家族化が進み、昔に比べると親戚付き合いが希薄になっている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような場合でも、行政書士にご相談していただくことで、親族間の協議を円満に進めるお手伝いをすることが可能です。
配偶者だけに遺産を相続させることは可能?
遺留分について理解しておきましょう
長年連れ添った配偶者の今後の生活のために、妻や夫に全ての遺産を相続させたいというご相談を受けることも少なくありません。
遺言を書いておけば、配偶者だけを相続人にできるのでは?とお考えの方も時々いらっしゃいますが、必ずしもそうではないのです。
相続には遺留分という制度があり、遺言書の内容に関わらず、必ず受け取ることのできる相続分があります。
遺留分の権利は法定相続人である配偶者、子などの直系卑属、父母などの直系尊属に認められており、兄弟姉妹、甥や姪は対象外です。
よって、お子さんがいないご夫婦の場合に遺留分が関係してくるのは、父母が共同相続人となった場合であると言えます。
遺言を残しておくことには意味があります
遺留分があるから、遺言を書くことに意味はないのでは、と思う方もいらっしゃるかもしれません。
相続人の中に遺留分の権利を持つ人がいても、遺言を残しておくことに意味はあります。
なぜなら、遺言の内容が遺留分に反していたとしても、遺言自体は有効であり、配偶者が遺言どおり全ての財産を相続することは可能だからです。
遺留分を侵害された相続人は、配偶者に対して自己の遺留分の権利を主張し、遺留分侵害額請求を行うことができるのですが、その際にも遺言の中で「配偶者に全財産を相続させる」という意思表示をしておくことで、その後の協議が円滑に進む場合があります。
遺言を作成する際には、遺留分についても事前に考慮しておいた方が、残された配偶者の負担を軽くすることができると言えます。
遺留分侵害額請求があった場合は専門家へ相談を
配偶者が全財産を相続したとして、遺留分侵害額請求がされた場合ですが、家庭裁判所での調停を行うこととなります。
このような場合は、余計な紛争をしなくて済むよう、早い段階で専門家に相談するのが良いでしょう。
当事務所においては、弁護士などの他士業とも連携をとっておりますので、お困りの際にはお気軽にご相談ください。
相続人調査は入念に
思いがけない相続人が現れることも
これまでご説明してきたように、お子さんがいない場合、相続人が多岐に渡り、相続関係が複雑になる場合があります。
思いがけない人が相続人だったということも、しばしばあるのです。
例えば父母が再婚だった場合、相続人調査のために父母の戸籍を取得した際に、兄弟姉妹がいることが新たに判明するようなケースもあり、この方が配偶者との共同相続人となる場合もあります。
後々のトラブルや、余分な手続きの発生を未然に防ぐためにも、相続人を漏れなく把握しておくことは重要だと言えます。
相続人調査は思いのほか時間と手間がかかる
相続人に誰がいるのかを調べるために、亡くなった方や亡くなった方の父母、兄弟姉妹などの戸籍を収集することになりますが、戸籍収集には意外と時間と手間がかかります。
出生から死亡までの戸籍を遡って取得する場合、本籍地が何度か移り変わっているような方に関しては、それぞれの本籍地への請求が必要な場合も。
また、昔の戸籍には手書きで書かれているものもあり、判読が難しいケースもあります。
当事務所では、これまでに多種多様な相続手続きを行ってきましたので、ご依頼いただければ、相続手続きに必要な戸籍収集をスムーズに進めるお手伝いも可能です。
生前に他の手続きで取得した戸籍を使える?
「自宅の整理をしていたら、昔取った戸籍が出てきたけれど、今回の相続に使えますか?」といったご質問を受けることがあります。
改正原戸籍や除籍謄本などは、取り直さなくても良い場合が多いですが、戸籍謄本については死亡日の記載がないといけないので、新たに取得する必要があります。
お手元にある戸籍が使えるかどうか判断に難しい場合は、ぜひご相談ください。
相続にまつわる疑問は、行政書士にお任せください
人生において、相続はそう何度もある出来事ではありません。
身近な人を亡くした悲しみの中で、手続きにまで気が回らないという方もいらっしゃると思います。
行政書士は、遺言の作成や相続人調査、遺産分割協議書の作成などを行える、相続手続きの専門家です。
当事務所はこれまでに、上田市をはじめとする長野県全域において、相続手続きの様々な事例に対応してまいりました。
相続に関して疑問やお困りのことがありましたら、いつでもお気軽にご相談ください。
まとめ
今回は、お子さんがいないご夫婦に想定される相続手続きについてご説明しました。
生前から相続に関する知識を身につけておくことで、これまで築いてきた財産を、ご家族の誰もが望む形で受け継いでいけることに繋がるかと思います。
こちらの記事を読んで、相続に関する将来への疑問や不安が少しでも解消されれば幸いです。