
「定款って言葉は聞いたことがあるけれど、具体的にどのようなもの?」
「定款作成において気をつけるべきポイントは?」
「定款を作成した後は、どのような手続きが必要?」
株式会社を設立することが決まったら、まず取りかからないといけないのが「定款の作成」です。
定款とは、これから設立する会社の基本事項をまとめたもので、会社の運営はそのルールに従って行う必要があります。
定款で定めたことが後々の会社運営の基礎となっていくので、必要な記載事項について十分理解し、丁寧に作成しておく必要があるでしょう。
本記事では、定款の主な記載事項や作成のポイントについて、会社設立手続きの専門知識を持つ行政書士が詳しくご説明します。
当事務所では、上田市をはじめとして長野県全域において、建設業許可申請、農地転用、遺言相続、会社設立などの各種手続に関し、書類の作成代行や作成代理および官公署への提出代理などを幅広く行っています。
ご相談や書類作成のみの場合は全国対応もしますのでお気軽にご連絡ください。
定款とはどのようなものなのか?
定款は設立する会社の根本規則
定款は会社を設立する上で、とても大切なものです。
なぜなら定款は、その会社の基本的な事項が記載された、会社を運営していくための根本規則と言えるからです。
会社の事業目的や運営のルールに変更が生じた場合は、定款変更を行わなければいけませんが、一度作成した定款は簡単に変更することができないようになっています。
定款変更は株主総会の決議を経て行われますが、その決議は普通決議ではなく特別決議が求められるのです。
このことからも、定款が会社にとっていかに重要なものであるかが分かります。
定款に記載される内容
では、定款に記載される事項にはどのようなものがあるのでしょうか。
主な記載事項を挙げると、会社の目的、商号(会社名)、本店の所在地、資本金の額、発起人の氏名や住所などです。
その会社がどこでどのような事業を行っていくのか、また、事業規模はどのくらいなのかが、定款を見ることで分かるようになっています。
先に挙げたこれらの事項は「絶対的記載事項」というもので、定款に必ず記載しておかなければならない事項です。
他にも、「相対的記載事項」や「任意的記載事項」というものがありますが、これらの違いについては、後ほど説明したいと思います。
どのタイミングで作成するのか
会社を設立することが決まったら一番初めにしなければいけないのが、定款の作成です。
会社は設立登記をして初めて法人格を得ることができますが、その設立登記申請には定款の提出が求められるからです。
設立を予定している日が明確に決まっている場合は、定款の作成もそこに向けて早めに取りかかるのが良いでしょう。
定款は今後の会社の運営に関わる重要事項を記載するものなので、誤りがないようにじっくりと時間をかけて作成したいものです。
株式会社の場合は定款認証の手続きも必要となり、公証役場に事前予約をしなければなりませんが、混みあっている時期もあるので、準備期間には余裕を持っておくのが良いと言えます。
定款の作成におけるポイント
必ず記載が必要な事項などをおさえておく
定款を作成するに当たって、必ずおさえておかなければいけないのが目的や商号などの「絶対的記載事項」です。
「絶対的記載事項」は、定款に必ず記載しないといけない事項であり、一つでも抜けていると定款自体が無効となってしまい、会社の設立をすることができません。
また、株式の譲渡制限などといった「相対的記載事項」というものもあり、これについては定款に記載しないと効力が生じないため、注意が必要です。
ほかには「任意的記載事項」として必ずしも定款に記載しなくても良い事項もありますが、定款認証の際に公証役場から記載を求められるケースもあるので、オーソドックスなものは記載しておいた方が無難だと言えるでしょう。
以下は、定款の記載事項について簡単にまとめたものです。
記載事項の種類 | 具体例 |
絶対的記載事項 | 目的、商号、本店の所在地、設立時の出資額またはその最低額、発起人の氏名(名称)・住所 |
相対的記載事項 | 株式譲渡制限、公告方法、現物出資など |
任意的記載事項 | 株主総会の招集時期、決算期など |
発行可能株式総数についても定める必要がある
会社が将来発行することのできる「発行可能株式総数」は絶対的記載事項ではないので、定款認証の段階では必ずしも記載しておく必要はないですが、設立時までには定款に定めておく必要があります。
設立時の定款に発行可能株式総数の記載がない場合は、設立の登記申請までに発起人の全員の同意によって定款を変更し、その数を定めなければなりません。
設立手続きをスムーズに行うために、発行可能株式総数についても最初から定款に定めておくのがベターだと言えます。
見落としやすい注意点
定款には普段見慣れない言葉が並ぶので、作成した内容や形式に誤りがないかを最終チェックしておくのが良いと言えるでしょう。
以下に定款の作成において見落としがちな注意点をまとめてみたので、作成の際に気をつけてみてください。
・第〇条という条項に抜けや重複がないか
定款を作成していると、途中で条項を追加したり削除したりすることもあるかと思うので、条項がきちんと順番通り並んでいるかどうか、一度確認しておくと良いでしょう。
・発起人の住所や氏名が、印鑑登録証明書に記載の内容と相違ないか
特に住所に関しては、ハイフン(-)などで省略して書くのではなく、正式な表記で書くようにしましょう。
・営業年度や決算期に間違いがないか
株式会社の場合は定款認証が必要
定款認証に必要なもの
合同会社の設立であれば定款認証は不要ですが、株式会社の場合は作成した定款を公証役場で認証してもらう必要があります。
公証役場で定款認証を受けるにあたっては事前の予約が必要なので、希望する設立日から逆算して、余裕をもった日程調整をしておいた方が良いと言えます。
公証役場に持参する主なものとしては、以下のものが挙げられます。
・押印済みの定款3通(会社保管用、公証役場提出用、法務局提出用)
・発起人全員の印鑑登録証明書
・収入印紙4万円分(※電子定款の場合は不要)
・認証手数料3~5万円(資本金の額によって異なる)
・謄本交付料2,000円程度
委任状が必要な場合は忘れずに
定款認証には発起人全員で行くのが原則ですが、発起人の数が多い場合、各々の都合がつかない場合も考えられます。
発起人全員で公証役場に行けない場合は、委任状を持参することで、代理で手続きをとることが可能です。
定款の作成だけでなく、委任状などの必要書類の作成に関しても行政書士がアドバイスさせていただくことが可能ですので、作成方法に迷われる場合はぜひご相談ください。
電子定款なら他県における定款認証に対応することも可能です
定款認証といえば、以前は本店の所在地を管轄する公証役場に出向くしかなかったところ、平成31年からテレビ電話を使った電子定款認証が実施されるようになりました。
これによって、本店が日本全国どこであっても定款認証を受けることが可能となりました。
長野県以外を本店として会社設立を検討されている方も、ぜひお気軽にご相談ください。
定款の作成は行政書士にぜひご相談ください
定款の作成は、初めてという方がほとんどだと思います。
さらに、会社を設立するとなると他にも様々な準備が必要です。
定款の作成については専門家である行政書士に任せて、少しでも事務手続きにかかる負担を減らすことを検討されてみてはいかがでしょうか。
当事務所はこれまでに、上田市をはじめとする長野県全域において、多数の定款作成手続きに対応してまいりました。
相談や書類作成のサポートのみの場合は全国対応しますので、お困りの際は当事務所へお気軽にご相談ください。
まとめ
今回は株式会社設立における定款の作成についてご説明しました。
定款の作成は、これから会社を設立していく上での重要な第一歩だと言えます。
万全の準備をすることで、安心感を持って会社運営をスタートさせていけることでしょう。