会社設立とは
事業を拡大し、さらなる成長を目指す中で、「会社を設立すべきか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
個人事業主として順調に事業を進めてきたものの、さらなるステップアップを考えた時、会社設立(法人化)は避けて通れない選択肢の一つです。
この記事では、会社設立のメリットから具体的な手続き、注意点まで、法人化に関する重要な情報を行政書士がわかりやすく解説します。
また、行政書士がどのようにサポートできるかについても詳しく説明していきます。
「会社設立にはどんなメリットがあるの?」
「会社設立の手続きは複雑?どんな書類が必要なの?」
「行政書士に依頼するメリットって何だろう?」
以上のような疑問をお持ちのみなさまも、この記事を読めば解決の糸口が見つかるはずです。
会社設立のメリット
会社設立には様々なメリットがあります。
ここでは主要な3つのメリットについて、具体例を交えながら詳しく解説します。
信用力の向上
会社を設立することで、取引先や顧客からの信用力が大幅に向上します。
これは会社設立の最も大きなメリットの一つと言えるでしょう。
具体的には以下のような効果が期待できます
新規取引先の開拓
法人化することで、大手企業との取引が容易になります。
多くの企業は取引先選定の際、法人であることを条件としているケースが多いためです。
大口契約の獲得
個人事業主よりも法人の方が、大規模なプロジェクトや高額な契約を獲得しやすくなります。
例えば、官公庁の入札に参加する際も、法人であることが条件となっていることが多いです。
人材採用の容易さ
優秀な人材の採用にも有利に働きます。
就職活動をしている人は、個人事業主よりも法人企業への就職を好む傾向があります。
福利厚生の充実や将来的なキャリアパスの見通しが立てやすいためです。
金融機関からの信用
法人化することで、金融機関からの融資を受けやすくなります。
個人事業主の場合、事業用の融資を受けるのは難しいケースがありますが、法人であれば企業としての財務状況や事業計画を評価してもらえるチャンスが増えます。
資金調達の容易さ
法人化すると、様々な方法で資金調達が行いやすくなります。
これは事業拡大や新規プロジェクトの立ち上げなど、大きな投資が必要な局面で特に重要となります。
銀行融資
法人であれば、運転資金や設備投資のための融資を受けやすくなります。
例えば、法人名義での不動産取得や高額な機械設備の購入なども、銀行融資を活用することで実現しやすくなります。
投資家からの出資
株式会社の場合、株式発行による資金調達が可能になります。
ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家から出資を受けることで、大規模な事業拡大や新規事業への参入がしやすくなります。
公的支援・助成金
国や地方自治体が提供する様々な支援制度や助成金は、法人を対象としているものが多くあります。
例えば、中小企業向けの低利融資制度や、特定の産業分野における研究開発助成金などが活用しやすくなります。
社債の発行
一定の要件を満たした株式会社であれば、社債を発行することで資金を調達することができます。
これにより、銀行融資に頼らない多様な資金調達手段を確保できます。
節税効果
適切な経営戦略を立てることで、法人化による節税効果を得ることができます。
ただし、これは必ずしもすべての場合に当てはまるわけではなく、事業規模や収益状況によって異なるため、専門家に相談することをおすすめします。
役員報酬の損金算入
役員報酬を経費として計上できるため、法人全体の課税所得を減らすことができます。
例えば、年商1億円の企業で、社長の役員報酬を年間1,200万円と設定した場合、この1,200万円は法人の経費として認められ、課税対象となる利益が減少します。
従業員の給与の経費化
従業員の給与も経費として計上できるため、事業規模の拡大に伴い人件費が増えても、それに応じて課税所得を調整することができます。
税率の違いを活用
個人事業主の場合、所得税は累進課税制度が適用されますが、法人税は一定の税率が適用されます。
そのため、収入が多い場合は法人化することで税負担が軽くなる可能性があります。
決算期の選択による税負担の平準化
法人は決算期を自由に選べるため、繁忙期と閑散期がある業種では、適切な決算期を選ぶことで税負担を平準化できます。
例えば、12月が繁忙期の業種であれば、1月決算を選択することで、利益が出やすい時期と決算期をずらすことができます。
各種控除や優遇税制の活用
中小企業向けの様々な税制優遇措置を活用できます。
例えば、中小企業投資促進税制や研究開発税制などがあり、設備投資や研究開発を行う際に税制面でのメリットを受けられます。
退職金制度の活用
役員や従業員の退職金を計画的に積み立てることで、将来の退職金支払い時に大きな節税効果を得ることができます。
以上のように、会社設立には信用力の向上、資金調達の容易さ、節税効果という3つの大きなメリットがあります。
ただし、これらのメリットを最大限に活かすためには、適切な会社運営と戦略的な経営判断が必要です。
会社設立を検討される際は、行政書士などの専門家に相談し、自社の状況に合わせた最適な方法を選択することをおすすめします。
会社設立の手続きと必要書類
会社設立の手続きは、一見複雑に感じられるかもしれません。
しかし、順を追って進めていけば、決して難しいものではありません。
ここでは、主要な手続きと必要書類について詳しく説明します。
なお、ここでは株式会社設立の場合を例に説明します。
定款の作成
定款は会社の基本的なルールを定めた書類で、会社設立に必要な最も重要な書類の一つです。
定款に記載する主な項目
商号(会社名)
事業目的
本店所在地
設立時の資本金の額
発行可能株式総数
株式の譲渡制限の有無
会社の機関設計
取締役の任期
事業年度
定款作成の注意点
商号には「株式会社」の文字を含める必要があります。
事業目的は具体的かつ明確に記載します。将来の事業展開も考慮して幅広く設定することが一般的です。
本店所在地は最小行政区画まで記載します(例:東京都渋谷区)。
公証人による認証
作成した定款は公証人役場で認証を受ける必要があります。
認証には手数料(通常5万円程度)がかかります。
登記申請書類の準備
法務局に提出する登記申請書類には、以下のようなものがあります。
登記申請書
会社の商号、本店、資本金、事業目的などを記載します。
定款
公証人の認証を受けたものを提出します。
出資金の払込みを証する書面
銀行や信用金庫が発行する払込金保管証明書を用意します。
資本金の額の振込みを確認できる書類です。
本店所在地の証明書
会社の本店所在地を証明する賃貸借契約書や不動産登記事項証明書などが必要です。
取締役の就任承諾書
全ての取締役から、就任を承諾する旨の書面を得る必要があります。
代表取締役の選定に関する書類
取締役会の議事録や、取締役の過半数の一致を証する書面などが必要です。
印鑑証明書
代表取締役および設立時取締役全員分の印鑑証明書が必要です。
発行から3ヶ月以内のものを用意します。
株主名簿
設立時の株主の氏名や住所、保有株式数などを記載します。
各種届出書の作成
会社設立後、様々な官公署に届出を行う必要があります。
主な届出には以下のようなものがあります。
税務署への届出
法人設立届出書
青色申告の承認申請書
給与支払事務所等の開設届出書
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(給与支払者が常時10人未満の場合)
都道府県税事務所への届出
法人設立届出書
事業開始等申告書(事業税・住民税)
市区町村への届出
法人設立届出書(住民税)
労働基準監督署への届出
労働保険関係成立届
適用事業報告
就業規則(常時10人以上の従業員がいる場合)
公共職業安定所(ハローワーク)への届出
雇用保険適用事業所設置届
年金事務所への届出
健康保険・厚生年金保険新規適用届
被保険者資格取得届
届出のタイミング
これらの届出は、原則として会社設立(法人登記完了)から2週間以内に行う必要があります。期限を過ぎると、加算税などのペナルティが課される可能性があるので注意が必要です。
その他の準備事項
会社印鑑の作成
会社実印(代表者印)、銀行印、角印などを作成します。
銀行口座の開設
法人名義の銀行口座を開設します。
多くの銀行では、登記完了後の法人登記簿謄本が必要となります。
帳簿書類の作成・購入
会計帳簿、社員名簿、株主名簿などを準備します。
社会保険労務士との契約
従業員を雇用する場合、労務管理や社会保険関連の手続きのため、社会保険労務士との顧問契約を検討します。
税理士との契約
適切な経理処理と税務申告のため、税理士との顧問契約を検討します。
会社設立の手続きは、このように多岐にわたり、専門的な知識が必要となる場合も多々あります。
書類の不備や届出の遅延は、会社の円滑な開始に支障をきたす可能性があります。
そのため、会社設立を検討されている方は、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。
なかつか行政書士事務所では、会社設立に関する豊富な経験と専門知識を活かし、お客様の状況に合わせた最適なアドバイスと手続きのサポートを提供しています。
会社設立に関するご質問やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
行政書士に依頼するメリット
会社設立の手続きは複雑で、専門的な知識が必要です。行政書士に依頼することで、以下のようなメリットがあります。
書類作成の正確性:行政書士は専門知識を活かし、必要書類を正確に作成します。これにより、手続きの遅延や却下のリスクを軽減できます。
時間と労力の節約:煩雑な手続きを行政書士に任せることで、起業家は本業に集中できます。
最新の法令知識:法改正や制度変更に詳しい行政書士に依頼することで、常に最新の情報に基づいた適切な手続きが可能です。
トータルサポート:会社設立後の各種届出まで一貫してサポートを受けられます。
当事務所では、依頼者様が必要となる手続きを常時把握し、定期的なアナウンスをすることも可能です。
費用は書類作成時のみ承っておりますので、まずは困ったことがあればお問い合わせください。
まとめ
会社設立は、事業の成長と発展を目指す上で重要な選択肢の一つです。
信用力の向上、資金調達の容易さ、節税効果など、多くのメリットがある反面、事務負担の増加やコストの上昇といったデメリットもあります。
会社設立を検討する際は、自身の事業の現状と将来の展望を見据え、慎重に判断することが大切です。
また、複雑な手続きを確実に進めるためには、専門家のサポートを受けることをおすすめします。