「建設業許可をとったけど、決算変更届が必要って本当?」
「いつまでに、どこに提出するんだろう?」
「必要書類がわからない・・・」
建設業許可をとった業者にとって、決算変更届は必ず必要ですが、提出方法や書類作成のしかたに悩んでいる方も多いのではないのでしょうか。
本記事では、建設業の決算変更届とはどういったものなのかを詳しく説明し、作成の注意点まで記載しているので、これから決算変更届を作成する予定のある方はぜひご一読ください。
当事務所では、上田市をはじめ長野県全域で建設業関連の書類作成および申請代行を承っておりますので、お気軽に御相談ください。
建設業の決算変更届とは
まずは、建設業における決算変更届とは何なのかを理解していきましょう。
決算変更届は毎年作成が必要な書類
決算変更届とは、建設業許可をとっている業者が毎事業年度ごとに作成が義務付けられている書類であり、事業年度終了届と呼ばれていることもあります。
年度の決算内容や、どのような工事を行ったのかを書類にまとめたり、納税が行われているかなども確認されます。
決算変更届という名称から、不定期的に変更が生じた場合のみ提出が必要と勘違いされる方もいますが、必ず事業年度終了の日から4か月以内に許可行政庁(都道府県によって異なる。長野県の場合は長野県庁)に提出しなければなりません。
提出しないとどうなるのか
仮に決算変更届を提出しないと、5年に1度の更新手続きや経営事項審査を受け付けてもらえなかったり、悪質なケースになると罰金が課せられるケースもあるので注意が必要です。
また、決算変更届に記載された内容は第三者でも閲覧することができるようになります。
期限内に決算変更届が提出されていないと、第三者に不信感を抱かせてしまう原因にもなりかねません。
地域によって提出が遅れてしまっても受け付けしてもらえたり、罰金を払わずに始末書などで済んでしまうケースもありますが、やはり建設業の経営者として提出するべき書類は期限内に出すように心がけましょう。
決算変更届に必要な書類と作成上の注意点
決算変更届の必要性を理解したうえで、実際にどのような書類を作成しなければならないのでしょうか。
ここからは、具体的な書類の内容や提出方法について解説していきます。
必要となる書類一覧
以下に必要な書類例を記載していますので確認してみましょう(個人・法人によって提出書類が変わります)。
書類名 | 個人事業の場合 | 法人の場合 |
---|---|---|
変更届出書 | 〇 | 〇 |
工事経歴書 | 〇 | 〇 |
直前3年の工事施工金額 | 〇 | 〇 |
財務諸表 | 〇 | 〇 |
事業報告書 | × | 〇(株式会社のみ) |
使用人数 | △ | △ |
設業法施行令第3条に規定する使 用人の一覧表 |
△ | △ |
附属明細表(注) | × | 〇 |
定款の写し | × | △ |
健康保険等の加入状況 | △ | △ |
納税証明書 | 〇 | 〇 |
注:資本金1億円超又は負債総額200億円超の株式会社
上記に記載した書類はあくまでも例であり、都道府県によって必要な書類が若干異なってきます。
許可行政庁のホームページで必要な書類の一覧を確認して記入用紙を印刷したり、記入例を確認したりすることができるので、作成前に必ず確認するようにしましょう。
令和5年1月からは電子申請も順次受付可能
建設業の事務負担軽減を目的として、本記事で解説している決算変更届のほかに、建設業許可申請、経営事項審査申請などの書類が令和5年1月から電子申請可能となります(地域によって開始時期が異なります。詳細は以下のリンクを御参照ください)。
国土交通省|建設業許可・経営事項審査電子申請システム
いままでは許可行政庁に書類を直接もしくは郵送で提出していましたが、パソコン上で申請が行えるようになれば前回の申請内容を再利用したり、システムによるエラーチェックもしてくれるので負担が大きく軽減されることでしょう。
ただ、電子申請をするにはデジタル庁が提供する「GビズID」の取得が必要となります。
電子申請でなく、いままで通り書類を紙媒体で作成することも許可されているので、どちらで申請するか検討してみるとよいでしょう。
作成の注意点
決算変更届を作成するには、ある程度の専門的な知識が必要となります。
ここからは、作成するにあたり確認しておくべき注意点をいくつか紹介していきます。
提出期限を過ぎないようにする
前述したとおり、決算変更届は事業年度終了後から4か月以内に提出しなければなりません。
個人事業主の事業年度終了日は必ず12月末であるため、4月末が期限となります。
一方、法人の場合はそれぞれ事業年度終了日が異なるため、各法人で提出期限の確認が必要です。
4か月期限があるとはいっても、税務署への税務申告を行ってから、その書類をもとに作成していくこととなるため、実際の作成可能期間はさらに短くなると思われます。
特に作成に慣れていない方は早めに行動するようにしましょう。
財務諸表の勘定科目を間違えないようにする
建設業の決算変更届で提出する財務諸表は、建設業法で定められた勘定科目で作成することとなるため、一般に税務申告で提出する財務諸表と表記が異なります。
法人の場合は、決算報告書・勘定科目の内訳書・消費税の申告書・総勘定元帳などをもとに勘定科目の分類を定めていきます。
個人の場合は、消費税の申告書・総勘定元帳・青色決算書などを使用します。
法人、個人どちらにおいても、財務諸表を作成する際には、建設業法施行規則別記様式第十五号及び十六号の国土交通大臣の定める勘定科目の分類を定める件(平成22年4月1日施行)に基づいて分類しましょう。
CIIC 一般財団法人 建設業情報管理センター|建設業法施行規則別記様式第15号及び第16号の国土交通大臣の定める勘定科目の分類を定める件
工事経歴書を正しく記載する
閲覧した人に、自身の事業実績をアピールできるように、業種の振り分けはきちんと行って工事経歴書にのせるようにしましょう。
地域によって、年間工事高の7割に達するまで工事経歴を記載すべきという役所もあれば、金額の多い順に20件に達するまでという基準を設けている役所もあるので、事前に確認しておきましょう。
決算変更届は行政書士に依頼することが多い
前述した注意点に気を付けながらすべての書類を揃えるには、かなりの時間と労力を要するでしょう。
期限も定められているため、本業の空き時間でゆっくり作成していくのも難しいのが現実です。
行政書士は、行政官庁へ提出する書類を代行する専門家であり、建設業の決算変更届も依頼することで正確かつ迅速に書類提出を済ませることができます。
もし決算変更届を自身で作成するのに悩んでいるのであれば、専門家への依頼も検討すると良いでしょう。
当事務所は上田市をはじめ、長野県全域で決算変更届の書類作成及び申請代行を承っております。
まとめ
いかがだったでしょうか。
決算変更届は毎年提出が求められる書類であり、特に今まで作成したことのない方にとっては時間と労力のかかる作業となってしまいがちです。
作成される方は行政書士への依頼も視野に入れつつ、あらかじめ余裕をもって作成手順を予習しておきましょう。